NMNサプリに精力・滋養強壮は表示できる?食品と医薬部外品・医薬品の線引き

NMNサプリに精力・滋養強壮を表示できるかを整理した図。食品は医薬品的な効能効果を表示できず、滋養強壮は医薬部外品や医薬品で使われる言葉であることを示している

NMNサプリは食品として流通しており、「精力をつける」「強精(強性)強壮」「疲労回復」「体力増強」と表示すると、厚生労働省の通知で医薬品的な効能効果の標ぼうとみなされます。「滋養強壮」は通知の例示には挙がっていませんが、例示は限定ではなく、表示全体で判断されます。2026年10月9日時点で確認できた公的資料では、「滋養強壮」は指定医薬部外品の告示や一般用医薬品の承認基準で使われている言葉で、「精力減退」は一部の一般用医薬品で効能として承認されています。

「『活力』や『精力』と書かれたNMNサプリは、医薬部外品のドリンク剤と何が違うの?」という疑問は、食品と医薬部外品・医薬品で、効能を表示できるかどうかの決まりが違うところから生まれています。

このページでは、「精力」「滋養強壮」「疲労回復」「栄養補給」などの言葉が、食品・保健機能食品・指定医薬部外品・一般用医薬品のそれぞれでどう扱われているかを、厚生労働省と消費者庁の資料をもとに整理します。成分の効果は扱いません。

この記事の要点

  • 食品NMNサプリに「精力をつける」「強精(強性)強壮」「疲労回復」と表示すると、医薬品的な効能効果の標ぼうとみなされます
  • 栄養補給「栄養補給」「健康維持」の表現は通知で除かれていますが、前後の文脈によっては医薬品的と判断されます
  • 保健機能機能性表示食品と栄養機能食品が表示できるのは、届け出た機能性と定型の栄養成分の機能の範囲で、NMNは栄養機能食品の対象成分に含まれません
  • 部外品指定医薬部外品の告示には「滋養強壮、虚弱体質の改善及び栄養補給」が目的として挙がっていて、精力に関する語はありません
  • 医薬品一般用医薬品では、一部の製品で「精力減退」が効能・効果として承認されています

このページは表示の区分と言葉を整理するもので、成分の効果や製品の良し悪しを評価するものではありません。


「精力」「滋養強壮」を表示できる区分

「精力」や「滋養強壮」を効能として表示できるかどうかは、その商品が食品・保健機能食品・指定医薬部外品・一般用医薬品のどの区分にあたるかで決まります。NMNサプリは食品として流通しているため、効能を表示する根拠になる承認がありません。

4つの区分で、効能を表示できる根拠と、「滋養強壮」「精力」に関わる言葉の扱いを並べると次のとおりです。

区分ごとの効能の表示の扱い(食品は医薬品的な効能効果を表示できない)
区分 効能を表示できる根拠 「滋養強壮」 「精力」「強精」に関わる語
いわゆる健康食品 なし 通知の例示にはない。表示全体で判断される 「強精(強性)強壮」「精力をつける」は医薬品的な効能効果の例示にある
機能性表示食品・栄養機能食品 届け出た機能性、定型の栄養成分の機能 届出と定型文の範囲に限られる 届出と定型文の範囲に限られる
指定医薬部外品 承認された効能・効果 告示で指定された目的の一つ 告示と承認基準に語がない
一般用医薬品 承認された効能・効果 生薬製剤の承認基準などの効能に使われる 一部の製品で「精力減退」などが承認されている

この表は、表示できる言葉の範囲を区分ごとに示したもので、効き目の強さや安全性を比べたものではありません。区分は、容器や包装に書かれた「指定医薬部外品」「第2類医薬品」などの区分表示で確かめられます。


食品のNMNサプリで医薬品的とみなされる言葉

食品に表示すると医薬品的な効能効果の標ぼうとみなされる言葉は、厚生労働省の通知「医薬品の範囲に関する基準」に例示されていて、「疲労回復」「強精(強性)強壮」「体力増強」「精力をつける」などが含まれます。これらは、身体の組織機能の一般的な増強・増進を主な目的とする効能効果の例として挙げられています。

NMNは、食薬区分の「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に載っている成分です。このリストの成分でも、医薬品的な効能効果を標ぼうした場合は、原則として医薬品とみなされます。対象は容器や包装だけでなく、チラシ・パンフレット・インターネット等の広告や、販売時の口頭の説明も含まれます。

通知の例示に挙がっている、身体の組織機能の一般的な増強・増進にあたる言葉は次のとおりです。

  • 疲労回復、強精(強性)強壮、体力増強、食欲増進
  • 老化防止、勉学能力を高める、回春、若返り、精力をつける
  • 新陳代謝を盛んにする、内分泌機能を盛んにする、解毒機能を高める
  • 心臓の働きを高める、血液を浄化する、病気に対する自然治癒能力が増す
  • 胃腸の消化吸収を増す、健胃整腸、病中・病後に、成長促進

「滋養強壮」という表記そのものは、この例示にはありません。ただし例示は「等」で結ばれていて、ここにない言葉でも、名称や説明を含めた表示全体から、身体の組織機能の増強・増進をうたっているかどうかが判断されます。例示にないことは、表示できることを意味しません。

医薬品的な効能効果の分類(疾病の治療・予防、名称による暗示など)の全体は、NMNは未承認医薬品?NMNサプリの安全性・表示の見方を公的資料で整理で説明しています。


「栄養補給」「健康維持」と書ける範囲

同じ通知は、身体の組織機能の増強・増進にあたる効能効果について、「栄養補給、健康維持等に関する表現はこの限りでない」としています。「栄養補給」という表現そのものは、医薬品的な効能効果にはあたらない側の表現です。

東京都は、通知の解説で「栄養補給」は前後関係によっては不適切と判断する、としています。対象の年代など病的な状態に関係しない「働き盛りの方の栄養補給に」は問題のない例で、「病中病後の体力低下時の栄養補給に」は病的な状態を前提にしているため医薬品的な例として挙げられています。


名称や成分の説明による暗示

効能効果をはっきり書いていなくても、次のような書き方で同じ効能効果を暗示する場合は、医薬品的な効能効果の標ぼうにあたるとされています。

  • 名称やキャッチフレーズ(通知の例は「延命○○」「不老長寿」など)
  • 含有成分の表示と説明
  • 製法の説明
  • 起源や由来の説明
  • 新聞・雑誌の記事、医師・学者の談話、学説、経験談の引用

健康増進法・景品表示法での扱い

消費者庁の留意事項は、健康増進法の「健康保持増進効果等」の例として「疲労回復」「強精(強性)強壮」「体力増強」を挙げています。留意事項は、特定の用語を一律に禁止するものではなく、表示全体から、著しく事実に相違するか、著しく人を誤認させるかを個別に判断するとしています。


保健機能食品で表示できる範囲

機能性表示食品と栄養機能食品は、食品でも制度で定められた範囲の機能を表示できる区分で、表示できるのは届け出た機能性と、定型の栄養成分の機能に限られます。消費者庁の留意事項は、許可・届出・基準の範囲を超える表示は、虚偽誇大表示等にあたるおそれがあるとしています。

栄養機能食品で機能を表示できる栄養成分は、ビタミン・ミネラルなど国が定めた20成分で、NMNはこの対象成分に含まれません。対象成分の一覧は、NMNとNRの違いは?NAD+を含む3成分を名称と表示区分で整理で示しています。

機能性表示食品が表示できるのは、疾病にかかっていない人の健康の維持・増進に役立つ旨または適する旨です。消費者庁の手引きは、してはならない表現として、疾病の治療効果や予防効果の暗示と、健康の維持・増進の範囲を超えた意図的な健康の増強の標ぼう(手引きの例は「肉体改造」「増毛」「美白」)を挙げています。

届け出た内容のとおりに表示した機能性表示食品は、通知で医薬品と認識されないと判断して差し支えないものとされています。NMNを機能性関与成分とする届出があるかどうかと、届出内容の確かめ方は、同じページの食品としての表示の区分で説明しています。


指定医薬部外品で表示できる効能

指定医薬部外品は、厚生労働大臣が告示で指定した目的の範囲で、承認を受けた効能・効果を表示できる区分で、「滋養強壮、虚弱体質の改善及び栄養補給」が目的とされている物は、この告示に挙がっています。

指定医薬部外品の告示のうち保健薬に関わる号(精力に関する語はない)
号 告示の文言
第十三号 滋養強壮、虚弱体質の改善及び栄養補給が目的とされている物
第十四号 生薬を主たる有効成分とする保健薬
第十九号 肉体疲労時、中高年期等のビタミン又はカルシウムの補給が目的とされている物
第二十三号 ビタミンを含有する保健薬(第十三号及び第十九号に掲げるものを除く。)

承認基準で決まっている効能の書き方

ビタミンを含む指定医薬部外品の効能の書き方は、「ビタミン含有保健剤製造販売承認基準」で決められています。現在の基準では、効能又は効果の範囲は次の5つで、ここから1つ以上を選んで基準のとおりに書きます。

  • 体力、身体抵抗力又は集中力の維持・改善
  • 疲労の回復・予防
  • 虚弱体質(加齢による身体虚弱を含む。)に伴う身体不調の改善・予防
  • 日常生活における栄養不良に伴う身体不調の改善・予防
  • 病中病後の体力低下時、発熱を伴う消耗性疾患時、食欲不振時、妊娠授乳期又は産前産後等の栄養補給

改正前の基準では、効能は「滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労・病中病後(又は病後の体力低下)・食欲不振(又は胃腸障害)・栄養障害・発熱性消耗性疾患・妊娠授乳期(又は産前産後)などの場合の栄養補給」の範囲とされていました。PMDAの検索では、この改正前の文言で効能・効果を表示している指定医薬部外品が確認できます。すでに承認された品目が効能の表現を改める場合は、一部変更承認申請によるとされています。

告示と承認基準のどちらにも、「精力」「強精」「勃起」の語はありません。承認基準の別表に掲げられた配合できる成分の名称にも、NMN(β-ニコチンアミドモノヌクレオチド)はありません。

マカやにんにくのような成分が、指定医薬部外品の承認基準や食薬区分のどこに置かれているかは、マカやにんにくが医薬部外品の成分かを、承認基準と食薬区分で突き合わせた解説で、成分ごとに確かめられます。


一般用医薬品で承認されている効能

一般用医薬品では、「滋養強壮」を効能に含む製品のほか、一部の製品で「精力減退」が効能・効果として承認されています。どちらも、製品ごとに承認された効能・効果の範囲で表示されるものです。

生薬を配合した一般用医薬品の承認基準では、ニンジン・コウジンなどの生薬の効能として「次の場合の滋養強壮:虚弱体質、肉体疲労、病中病後、胃腸虚弱、食欲不振、血色不良、冷え症」が定められています。PMDAの一般用医薬品の検索には、「滋養強壮保健薬」という薬効の分類があります。

PMDAの一般用医薬品の検索で効能・効果の欄を調べると、「精力減退」「勃起力減退」「陰萎」などを効能とする製品が確認できます。本ページの調査で確かめた範囲では、男性ホルモンを含む第1類医薬品と、生薬を含む第2類医薬品がありました。

指定医薬部外品と一般用医薬品で、効能・効果の文言がまったく同じ製品もあります。文言が同じでも区分は違うため、区分は容器や包装の区分表示で確かめます。NMNを成分とする医薬品は、PMDAの添付文書の検索では確認できません。検索の方法と結果は、NMNは医薬品として承認されているかで示しています。


区分から読み取れないこと

効能を表示できる区分や承認された効能・効果は、表示できる言葉の範囲を示すもので、成分や製品の効き目の大小、安全性の高さを示すものではありません。

  • 食薬区分の非医リストは、医薬品にあたるかどうかを判断するための参考として作られたもので、食品としての安全性等を評価したリストではないとされています
  • 例示に挙がっていない言葉も、表示全体で判断されます。例示にないことを、表示できる根拠として読むことはできません
  • 個々の製品が医薬品にあたるかどうかは、行政が成分・形状・表示・用法用量・販売方法を総合して判断します。本サイトは個別の製品について判断していません

よくある質問

QNMNサプリに「精力」や「滋養強壮」と表示できますか?

NMNサプリは食品として流通しているため、「精力をつける」「強精(強性)強壮」のような表示は、厚生労働省の通知で医薬品的な効能効果の標ぼうとみなされます。「滋養強壮」は通知の例示にない言葉ですが、例示は限定ではなく、名称や説明を含めた表示全体で判断されます。個々の製品が医薬品にあたるかは行政が判断します。

Q「栄養補給」という表示は、医薬品的な効能効果にあたりますか?

「栄養補給」という表現は、厚生労働省の通知で、身体の組織機能の増強・増進にあたる効能効果から除かれている表現です。ただし東京都の解説では前後関係で判断するとされ、「働き盛りの方の栄養補給に」は問題のない例、「病中病後の体力低下時の栄養補給に」は医薬品的な例として挙げられています。

Q指定医薬部外品の滋養強壮剤と、NMNサプリの表示の違いは何ですか?

指定医薬部外品は、告示で指定された目的の範囲で承認を受けた効能・効果を表示できる区分で、「滋養強壮、虚弱体質の改善及び栄養補給」が目的の物が指定されています。NMNサプリは食品で、承認された効能・効果はありません。区分は、容器や包装の区分表示で確かめられます。

Q「精力減退」という言葉は、医薬品の効能に使われていますか?

「精力減退」は、一部の一般用医薬品で効能・効果として承認されている言葉です。PMDAの一般用医薬品の検索では、男性ホルモンを含む第1類医薬品や、生薬を含む第2類医薬品の効能に記載されたものが確認できます。指定医薬部外品の告示と承認基準には、精力・強精・勃起に関する語はありません。

Q機能性表示食品は、どのような機能を表示できますか?

機能性表示食品が表示できるのは、事業者が消費者庁に届け出た機能性の範囲です。疾病にかかっていない人の健康の維持・増進に役立つ旨に限られ、疾病の治療・予防を示す表現や、肉体改造のような意図的な健康の増強を標ぼうする表現はできません。個々の届出の内容は、消費者庁の届出情報検索で確かめられます。

このページの出典

  • 厚生労働省 通知「医薬品の範囲に関する基準の一部改正について」(令和2年3月31日 薬生発0331第33号。原通知は昭和46年6月1日 薬発第476号「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」)PDF
  • 厚生労働省 通知「『食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示』の一部改正について」(令和8年8月5日 医薬監麻発0805第1号)PDF
  • 厚生労働省 告示「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第二項第三号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する医薬部外品」(平成21年2月6日 厚生労働省告示第25号)PDF
  • 厚生労働省 通知「新指定医薬部外品の製造販売承認基準の一部改正について」(平成29年3月28日 薬生発0328第10号)別紙「ビタミン含有保健剤製造販売承認基準」ページ
  • 厚生労働省 通知「『新指定医薬部外品の製造販売承認事務の取扱いについて』の一部改正について」(平成29年3月31日 薬生薬審発0331第23号)PDF
  • 厚生労働省 通知「一般用生薬製剤製造販売承認基準について」(平成29年12月21日 薬生発1221第4号)PDF
  • PMDA「一般用医薬品・要指導医薬品 情報検索」ページ
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日 一部改定)PDF
  • 消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」(令和7年10月1日 一部改正)PDF
  • 消費者庁「機能性表示食品の届出情報検索」ページ
  • 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)(e-Gov法令検索)ページ
  • 東京都保健医療局「医薬品的な効能効果について」ページ

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