NMNとNRの違いは?NAD+を含む3成分を名称と表示区分で整理

NMNとNRの違いをNAD+を含めて整理した図。3つが別の成分であること、食薬区分の非医リストでの扱い、機能を表示できる保健機能食品の区分を示している

NMN・NR・NAD+は別々の成分です。厚生労働省の食薬区分で「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分」のリストに載っているのはNMNとNR(ニコチンアミドリボシドクロライド)で、NAD+は2026年9月18日時点でどちらのリストにも載っていません。

「NMNとNR、結局なにが違うの?」という疑問は、名前がよく似ていることに加えて、販売ページでは略称で書かれることもあるため、区別がつきにくいところから生まれています。このページでは、NMN・NR・NAD+の違いを、体内での働きではなく「名前」「国の区分」「表示の種類」の3つの面から、厚生労働省と消費者庁の資料をもとに整理します。

この記事の要点

  • 名称NMN(β-ニコチンアミドモノヌクレオチド)、NR(ニコチンアミドリボシド)、NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は、化学式の異なる別の成分です
  • 食薬区分NMNとNRは、2020年3月31日の通知で「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分」のリストに追加されました
  • NAD+食薬区分の専ら医リストにも非医リストにも載っていません
  • 表示機能を表示できるのは保健機能食品に限られ、NMNを機能性関与成分とする機能性表示食品の届出も公開されています
  • 限界区分は食品として扱う際の位置づけを示すもので、安全性の評価や成分の優劣を示すものではありません

このページは成分の名称と制度上の区分を整理するもので、体内での作用や効果の比較は扱っていません。


NMN・NR・NAD+は別々の成分

NMN・NR・NAD+は名前が似ていますが、化学式も分子量も異なる別の成分です。まずは、略称と一般名の対応を確認します。

NMN・NR・NAD+の名称と化学式(3成分は化学式が異なる別の成分)
略称 一般名 英名 食薬区分リストでの名称 化学式 分子量
NMN β-ニコチンアミドモノヌクレオチド Nicotinamide mononucleotide β-ニコチンアミドモノヌクレオチド C11H15N2O8P 334.22
NR ニコチンアミドリボシド Nicotinamide riboside ニコチンアミドリボシドクロライド C11H15ClN2O5 290.70
NAD+ ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド Nicotinamide adenine dinucleotide 収載なし C21H27N7O14P2 663.4

化学式と分子量は、米国国立衛生研究所の化学物質データベース(PubChem)に掲載されている値です。NRは食薬区分のリストに収載されている塩化物(ニコチンアミドリボシドクロライド)の値を、NAD+はPubChemでの名称(Nadide)の値を示しています。

なお、ナイアシン(ニコチン酸)は、上の3成分とは別の成分です。食薬区分の同じリストに、別の項目として載っています。


表示で見かける呼び方

NMNは「NMN」「β-ニコチンアミドモノヌクレオチド」「ニコチンアミドモノヌクレオチド」のように、略称と一般名のどちらでも書かれます。NRは、食薬区分のリストでは「ニコチンアミドリボシドクロライド」という塩化物の名称で載っています。

略称だけでは、どの成分を指しているのかが分かりにくい場合があります。表示を見るときは、一般名でどう書かれているかもあわせて確認します。


食薬区分での扱い

NMNとNRは、2020年3月31日の厚生労働省の通知で非医リストに追加されました。NAD+は、専ら医リストにも非医リストにも載っていません。

食薬区分は、口から摂るものが医薬品にあたるかどうかを判断するための基準です。厚生労働省は成分ごとの例示として、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(以下、専ら医リスト)と、「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(以下、非医リスト)の2つを示しています。

食薬区分リストでの収載状況(NMNとNRは非医リスト、NAD+は収載なし)
成分 専ら医リスト 非医リスト 非医リストに追加された通知
NMN 収載なし 収載あり 2020年3月31日
NR(ニコチンアミドリボシドクロライド) 収載なし 収載あり 2020年3月31日
NAD+ 収載なし 収載なし ―

収載状況は、改正通知に別紙として付いている両リストの全文で確認しています。確認した改正通知は、このページの出典に記載しています。


「非医」が意味すること

非医リストに載っている成分は、医薬品的な効能効果を標ぼうしない限り、医薬品とは判断されません。一方で、非医リストの成分を食品として使う場合は、食品衛生法の規制の対象になることが、厚生労働省の通知で示されています。

どのような表示が効能効果の標ぼうにあたるかは、NMNは未承認医薬品?NMNサプリの安全性・表示の見方を公的資料で整理で説明しています。


リストに載っていない成分の扱い

2つのリストは、成分を例として挙げたものです。どちらのリストにも載っていない成分を含む製品を扱う事業者は、学名、毒性、国内外での医薬品としての承認前例などの資料を添えて、都道府県を通じて厚生労働省に判断を求めることができます。

NAD+は、どちらのリストにも載っていません。本サイトでは、NAD+を食品に使えるかどうかの判断は示さず、リストに載っていないという事実のみを掲載しています。

非医リストは安全性を評価したリストではない

非医リストは、医薬品にあたるかどうかを判断する際の参考として作られたものです。厚生労働省の通知には、食品としての安全性等を評価したリストではないことが明記されています。


食品としての表示の区分

食品として売られるNMNなどのサプリメントのうち、機能を表示できるのは保健機能食品(特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品)に限られます。それ以外の食品は、機能を表示できません。

消費者庁は、特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品の3つを保健機能食品とし、それ以外の一般食品は機能性の表示ができないと説明しています。栄養補助食品や健康補助食品といった表示で売られている食品も、一般食品にあたります。食品・指定医薬部外品・一般用医薬品で表示できる効能の範囲は、NMNサプリに精力・滋養強壮は表示できる?食品と医薬部外品・医薬品の線引きで比べています。

食品の機能表示の区分(NMN・NR・NAD+は栄養機能食品の対象成分に含まれない)
区分 国の関与 表示できること NMN・NR・NAD+との関係
特定保健用食品 食品ごとに国が審査し、許可する 許可された保健の機能 ―
栄養機能食品 許可・届出は不要。国の規格基準に従う 定められた栄養成分の機能 対象成分に含まれない
機能性表示食品 販売前に消費者庁長官へ届け出る。国の審査はない 届け出た機能 NMNを機能性関与成分とする届出が公開されている
いわゆる健康食品(一般食品) ― 機能は表示できない NMN・NR・NAD+を含んでいても、その機能は表示できない

栄養機能食品として機能を表示できる栄養成分は、食品表示基準で定められた20種類です。ナイアシンはこの20種類に含まれますが、NMN・NR・NAD+は含まれていません。


機能性表示食品かどうかの確かめ方

NMNについては、機能性関与成分とする機能性表示食品の届出が、消費者庁の届出情報検索で公開されています。同じNMNを含む製品でも、機能性表示食品として届け出ているかどうかで、パッケージに表示できる内容が異なります。

  • パッケージに「機能性表示食品」の表示と、届出番号が記載されているか
  • 届出番号や商品名で、消費者庁の届出情報検索から届出の内容を確認できるか

機能性表示食品は、特定保健用食品と異なり、国が安全性と機能性の審査を行っていません。事業者の責任において、科学的根拠をもとに届け出られたものです。本サイトでは、届け出られた機能の文言は転記していません。


商品名と原材料名の読み方

商品名や広告に「NAD+」「NMN」とあっても、どの成分がどれだけ入っているかは、原材料名欄と成分量の表示で確かめます。商品名は、配合されている成分や量を示す欄ではありません。

  • 原材料名欄に、どの名称(NMN、ニコチンアミドリボシドなど)で書かれているか
  • 機能性表示食品の場合、機能性関与成分の名称と、1日あたりの量が表示されているか
  • 複数の成分を配合している場合、原材料名欄のどの位置に書かれているか

原材料名の並び順や、含有量を1日あたりに揃える方法は、NMNサプリの選び方|含有量・純度・価格の表示の読み方で説明しています。


区分から読み取れないこと

食薬区分や表示の区分は、食品として扱う際の位置づけを示すもので、成分の作用や製品の優劣を示すものではありません。区分から読み取れないことは、次のとおりです。

  • 非医リストに載っていることは、安全性が評価されたことを意味しない
  • 機能性表示食品の届出は、国の個別審査を経たことを意味しない
  • 区分からは、NMNとNRのどちらがよいかは分からない

NMNとNAD+の体内での関係については、医師監修のもとで作成された記事で次のように説明されています。

NMN点滴と経口摂取の違い|体内での作用の経路と指摘されている論点(NMNが体内でNAD+になるまでの経路)

NAD+は細胞に広く存在する補酵素で、NMNはNAD+がつくられる過程で材料にあたる物質だと説明されています。あわせて、東京大学医学部附属病院の発表で、NMNがビタミンB3群に属する物質とされていることが紹介されています。

出典:美容クリニックの教科書/監修:百枝 加奈子 医師/取得日:
参照先の記事を読む

上記の解説は、医師監修のもとで作成された記事からの引用です。本ページ自体は医療従事者の監修を受けていません。

NRの体内での扱いについては、医師監修のもとで作成された参照先がないため、本サイトでは扱っていません。

持病がある方、服薬中の方、妊娠中・授乳中の方は、NMNなどのサプリメントを摂る前に、医師または薬剤師に相談してください。


よくある質問

QNMNとNRの違いは何ですか?

NMN(β-ニコチンアミドモノヌクレオチド)とNR(ニコチンアミドリボシド)は、化学式の異なる別の成分です。食薬区分ではどちらも2020年3月31日の通知で非医リストに追加されており、NRは「ニコチンアミドリボシドクロライド」の名称で載っています。

QNAD+は食薬区分でどう扱われていますか?

NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は、専ら医リストにも非医リストにも載っていません。リストは例示であり、どちらにも載っていない成分については、事業者が資料を添えて国に判断を求める手続きがあります。

QNMNは医薬品ですか、食品ですか?

NMNは食薬区分の非医リストに載っており、医薬品的な効能効果を標ぼうしない限り医薬品とは判断されない成分です。食品として使う場合は食品衛生法の規制を受けます。このリストは、食品としての安全性を評価したものではありません。

QNMNの機能性表示食品はありますか?

あります。消費者庁の届出情報検索で、NMNを機能性関与成分とする機能性表示食品の届出が公開されています。機能性表示食品は、特定保健用食品と異なり国の個別審査を受けたものではなく、届出の内容は容器包装の届出番号から確認できます。

QNMNやNRは栄養機能食品の対象ですか?

NMN・NR・NAD+は、栄養機能食品として機能を表示できる栄養成分に含まれていません。対象は食品表示基準で定められた20種類で、ナイアシンは含まれます。

このページの出典

  • 厚生労働省 通知「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」(令和2年3月31日 薬生監麻発0331第9号)ページ
  • 厚生労働省 通知「『食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示』の一部改正について」(令和8年8月5日 医薬監麻発0805第1号)PDF
  • 厚生労働省 通知「医薬品の範囲に関する基準の一部改正について」(令和2年3月31日 薬生発0331第33号)PDF
  • 厚生労働省 通知「『医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)』の食品衛生法上の取扱いについて」(令和6年3月28日 健生食基発0328第2号)PDF
  • 消費者庁「機能性表示食品について」ページ
  • 消費者庁「機能性表示食品の届出情報検索」ページ
  • 消費者庁「『機能性表示食品』って何?」(平成27年7月改変)PDF
  • 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)別表第十一(e-Gov法令検索)ページ
  • 消費者庁「食品表示基準の一部を改正する内閣府令(案)に関する意見募集について」(令和8年7月1日)PDF
  • PubChem(米国国立衛生研究所)Nicotinamide Mononucleotide(CID 14180)ページ
  • PubChem(米国国立衛生研究所)Nicotinamide riboside chloride(CID 90480033)ページ
  • PubChem(米国国立衛生研究所)Nadide(CID 5892)ページ
  • 美容クリニックの教科書「NMN点滴と経口摂取の違い|体内での作用の経路と指摘されている論点」ページ

情報の取得日: